正しい問い

我が家では、食べ物の取り合いがこじれると子供たち同士の小さな戦争が勃発します。とりあえず父親として、その戦争が大きくなりそうなときは止めるのですが、この戦争に関しては論理的に『なぜ駄目なことなのか』が説明できないため黙って戦争を抑圧するのです。

戦国時代は、力が弱まった足利幕府の次を狙って、各地の武将が天下統一を目指して戦ったと学校で習いました。でも、全然違ってました。天下統一を目指して戦っていたのは織田信長だけで、それ以外は、みな地元が飢饉になったので、隣の領土を攻めて収穫物を奪うためでした。それが目的なので百姓も兵隊として協力し、勝てばその報酬は略奪だったのです。それを織田信長は厳しく禁じています。ですから『鳴かぬなら 殺してしまえ ホトトギス』なんて教えてるのではなく、なぜ織田信長だけが人間が本来持つ欲を抑え、天下統一という事業に対する理念のみに集中することができたのかを具体的な戦略や施策とともに教えるべきなのです。

アメリカの南北戦争も南部側が奴隷制度廃止に抵抗したから、黒人奴隷に対して悪いことをしていたとは言えません。一方で北部側は人権を尊重するような善良な人間が多かったわけでもありません。むしろ、その逆で南部の方が農作物で生計を立てている人が多かったために黒人奴隷は必要不可欠な存在だっただけなのです。黒人奴隷が働いてくれなければ生活ができないので、黒人奴隷の扱いは南部の人たちの方が良かったそうです。では、なぜ北部側が奴隷制度撤廃と唱えたのかというと機械が発達したから、人の奴隷が必要なくなっていたのです。

日本の戦国時代も、アメリカの南北戦争も、狭く深く掘り下げていくと「そんなことで」というような誰もが気づきそうで気づいてないことが問題の本質で、当時それを純粋に洞察できた人が少なかったという事実に驚きます。

織田信長武田信玄はどちらが多くの人を殺したのか?

ワシントン州テキサス州は、どちらの方が善良な市民か?

やはり、答えより問いが適切かどうかを疑うべきです。解決しない問題というのは決まって、答えではなく問いが間違えています。だから解決しないのです。